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余市町図書館の本棚より「フリースクール」

 

オットー・シュタイガ―.フリースクール.高柳英子 訳.永田智子 画.リブリオ出版.1994年10月

 

著者は、スイス生まれ、ドイツとフランスの大学に学び、編集者やニュース解説者、チューリッヒの私立学校の校長を経てスイスで作家となり、そのさまざまな経験から本書のような児童書が創作された。

 

主人公は、14歳の少女、エリアーネ、父のクルトと母のマグダと3人家族で、父は保険会社、母は美容院に勤める。この物語でエリアーネは、学校の成績やスポーツが良いわけでもなく、家の手伝いもせず、夜はテレビを見ながらお菓子を食べるのが大好きな、あまりにも普通の子どもとして描かれている。父は、社交的な性格でいろいろな女性とも親しくするので、妻のマグダは夜のテニスクラブで気を紛らわす。夜は出かけてしまう夫にストレスとなっているマグダはとうとう離婚を決意する。

 

この物語は、離婚の準備のためにマグダの実家にエリアーネを連れた別居から始まる。初めは、離婚の母娘が厳しい実家の父の元で肩身も狭く暮らす話かと思ったが、エリアーネのとった行動により大きく動く。それは、別居先実家のあるシャッフハウゼンから、ヒッチハイクや電車やユースホステルに泊りながら父のベルンまでの旅であった。表紙の絵に、制服を着た少女が肩掛けバックの上に載せているのが、どうやら寝袋のようで、夏休みに十分に計画された家出なのである。

十代の頃にありがちな少しの冒険心と自立心に誰も共感し、主人公と共に不安と希望のようなものを混ぜた旅の中に没入させる。途中のヒッチハイクで載せてもらった車の男に怖い思いもするが、財布を電車の中で盗んだ青年を見つけて、自分の荷物も置き去りにして追いかけ、その青年との出会いからエリアーネにとって新たな世界が広がる。

 

この物語は、あまりに普通の女の子が、両親の別居と惨めな暮らしから逃れようとする中で、甘えていた自分の立ち振る舞いを考え直す自立のきっかけをつかむ話である。子どもは、学校でしか学ぶことができないのではなく、他の方法でも自らの力で学ぶことができるのではないかと真に考えてしまった。タイトルのフリースクールのように、いつから、どこでも、だれからでも、学ぶことができるのである。やがて旅の青年との別れは、わがままな主人公の少女時代の終わりでもあった。大人も学校の在り方や学び方を、子どもが現代を生き延びるために柔軟に考えたい。

 2020・12・12

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